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性格腐ってるやつの正体を精神科医がぶっちゃけましょう。

精神科医 芳賀高浩

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性格腐ってるやつの正体を精神科医がぶっちゃけましょう。

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精神科医 芳賀高浩
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こんばんは。精神科医の芳賀高浩です。 今日は「嫌なやつの正体」についてお話ししたいと思います。 なぜこの話をしようと思ったかというと、訪問診療をしていると、どうしても「嫌な人」に出会うことがあるからです。もちろん、性格に問題があるからといって、医療者や支援者がその人を見捨ててよいわけではありません。むしろ、訪問診療や支援というものは、ある意味では「戦い」だと私は思っています。 ここでいう戦いとは、相手を打ち負かすという意味ではありません。患者さんや利用者さんの懐に入り、少しでも行動変容を促していくための戦いです。相手が手強ければ手強いほど、こちらも工夫しなければならない。強敵だからこそ、支援者としての力が試されるわけです。 ただ、現場で問題になるのは、そういう「嫌な人」が周囲の支援者を消耗させてしまうことです。ケアマネージャーさん、訪問看護師さん、リハビリスタッフなどに対して、細かいところを突き、相手が一番困るところを狙ってくる人がいます。 たとえば、「あの訪問看護師さんとは合わないから交代してほしい」「あのケアマネージャーさんは約束を守らないから替えてほしい」と言ってくる。しかも、それを本人に直接言うのではなく、別の支援者や上司に伝えることがあります。言われた側は、まるで自分だけが悪かったかのように感じて、非常に傷つきます。 嫌な人というのは、誰に言えば一番相手が嫌な思いをするかを、本能的に分かっていることがあります。ここが非常に厄介なのです。 単に怒りっぽい人や感じが悪い人は、まだ分かりやすい。けれど、本当に手強いのは、相手の弱いところ、後ろめたさを感じているところを見抜き、そこを執拗に突いてくる人です。 たとえば訪問看護では、道路状況や前の訪問先の都合で、予定時刻から数分前後することがあります。もちろん大幅な遅れは問題ですが、プラスマイナス10分程度は現実的には起こり得ます。訪問看護師さん自身も「申し訳ないな」と思っていることが多い。そういう気後れを感じているところを、嫌な人は見逃しません。 「また遅れましたね」 「時間を守れないんですか」 「前もそうでしたよね」 こうやって、相手が一番言われたくないところを突いてくるわけです。 また、精神科の訪問看護では、会話を広げることも大事です。話題がないとき、部屋にハーゲンダッツの空き箱があれば、「ハーゲンダッツがお好きなんですか」と声をかけることがあるかもしれません。本来は、会話のきっかけを作ろうとしただけです。 しかし、それを「生活保護なのに高いアイスを食べていると言いたいのか」「人の生活を詮索された」と受け取られることがあります。もちろん支援者側に悪意はありません。それでも、どこまで生活に触れてよいのか、支援者自身も迷いながら関わっています。その迷いを感じ取って、そこを攻撃してくる人がいるのです。 ここで私が言いたいのは、いわゆる「嫌な人」は、実は空気が読めない人ではないということです。むしろ逆です。非常に空気が読めるのです。 発達障害のある方の中には、相手の表情や雰囲気から気持ちを読み取るのが苦手な方がいます。言葉で説明されるより、文字で整理された情報の方が入りやすいという人もいます。目で見える情報でも、文字情報は理解しやすい一方で、表情の微妙な変化や場の空気を読み取ることは苦手なことがあります。 ところが、本当に嫌な人はその逆です。相手の表情、声のトーン、ちょっとした沈黙、気後れ、後ろめたさを非常によく見ています。そして、「ここは相手が弱い」と感じると、そこを徹底的に突いてくるのです。 たとえばケアマネージャーさんがデイサービスを探したとします。本人は「近いところがいい」と希望していたけれど、実際には少し離れた場所しか見つからなかった。ケアマネージャーさんとしては最善を尽くしたけれど、少し申し訳なさも感じている。そこで利用者さんが「どうしてこんなに遠いんですか」と言う。そのとき、ケアマネージャーさんの表情が一瞬曇る。 嫌な人は、その一瞬を見逃しません。 「本当はもっと近いところがあったんじゃないですか」 「他のケアマネさんなら探せたんじゃないですか」 「手を抜いたんじゃないですか」 このように、相手が少しでも弱気になった場所を、どんどん攻めてくるわけです。 つまり、嫌な人の本質は「空気が読めないこと」ではありません。むしろ、空気を読みすぎるほど読める。そして、その能力を相手を支えるためではなく、相手を追い詰めるために使ってしまうことです。 このような人と関わると、支援者はだんだん疲弊します。最初は何とか良い支援をしようと思っていても、毎回細かく責められたり、揚げ足を取られたり、他の人に悪く言われたりすると、どうしても距離を置きたくなります。 もちろん表面上は、支援者もにこやかに接します。しかし心の中では、「あまり深く関わるとまた傷つけられる」「怒らせないように最低限の支援をしよう」と思うようになる。すると、利用者さんはその空気もまた敏感に感じ取ります。 「あ、この人たちは自分と距離を取りたがっている」 「本当は自分のことを嫌がっている」 「自分は大切にされていない」 そう感じて、今度は勝手に傷つき、落ち込んだり、怒ったりするわけです。 これは非常に厄介です。人には攻撃的で、相手の弱いところを突いてくる。にもかかわらず、周囲が距離を取ると、その距離感には敏感に傷つく。なぜなら、空気が読めるからです。発達障害の方とは逆で、場の空気を非常によく読めてしまうからこそ、自分が避けられていることにも気づいてしまうのです。 私は、これが「嫌なやつ」の正体ではないかと思っています。 単に怒りっぽい人、口が悪い人、感じが悪い人というだけなら、まだ対応のしようがあります。しかし、相手の痛いところを的確に見抜き、そこを何度も突いてくる人は、周囲を大きく消耗させます。そして、周囲が疲れて距離を取ると、その距離にまた傷つく。これが繰り返されることで、人間関係はどんどん悪くなっていきます。 では、支援者はどうすればよいのか。 私は、まず「これは戦いだ」と思うようにしています。もちろん、相手を倒す戦いではありません。相手の攻撃性に巻き込まれず、こちらが冷静さを保ち、支援の目的を見失わないための戦いです。 相手が強敵であればあるほど、こちらも感情的になってはいけません。相手の言葉にそのまま傷つくのではなく、「この人は今、こちらの弱いところを探しているのだな」と一歩引いて見る必要があります。そして、支援者同士で情報を共有し、孤立しないことが大切です。 ケアマネージャーさんや訪問看護師さんが傷ついているとき、私は「こういう人はいます。あなたが全部悪いわけではありません」と伝えるようにしています。支援者が一人で抱え込むと、相手の言葉に潰されてしまいます。だからこそ、チームで支える必要があります。 嫌な人の正体は、空気が読めない人ではありません。むしろ、空気をよく読み、相手の弱さを見抜く力を持っている人です。その力を、相手を理解するためではなく、攻撃するために使ってしまう。そこに問題の本質があります。 だから支援者は、その構造を理解しておく必要があります。相手の言葉にただ振り回されるのではなく、「この人はどこを突いてきているのか」「こちらのどんな後ろめたさに反応しているのか」を冷静に見ることです。 そのうえで、必要な支援は続ける。距離を取りすぎず、巻き込まれすぎず、チームで対応する。 それが、こうした難しい人と関わるうえで大切な姿勢だと思います。 今日は「嫌なやつの正体を暴く」というテーマでお話ししました。嫌な人とは、ただ性格が悪い人というだけではありません。相手の表情や空気を読み、相手の弱いところを突くことができる人です。そして、その一方で、自分が距離を取られることには敏感に傷つく人でもあります。 支援の現場では、こうした人に出会うことがあります。だからこそ、支援者は一人で抱え込まず、チームで支え合いながら、冷静に関わっていくことが大切です。 精神科医の芳賀高浩でした。