恋をした20人の血液は強迫症と同じだった、人はなぜ恋をするのか?【心理学】
万象図鑑
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恋をした20人の血液は強迫症と同じだった、人はなぜ恋をするのか?【心理学】
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揺れる吊り橋を渡り終えた男性に、女性が声をかけ、電話番号を渡す。1974年、カナダの渓谷で行われた実験では、揺れない橋より、揺れる橋を渡った男性の方が、あとで電話をかけた人が多かった。体は先に鳴っていて、理由は、あとから貼られていたのです。
1999年、イタリアの研究者たちは血液を調べました。恋をして6か月以内の20人と、強迫症の患者20人。セロトニンを運ぶ仕組みの量は、どちらも同じくらい減っていて、血液の上では区別がつきませんでした。
人は、なぜ恋をするのか。万象図鑑が、確かめられた実験と、まだ確かめられていない説を分けながらたどります。
恋をした人の脳では、中脳の腹側被蓋野(ドーパミンの神経が集まる「もっと欲しい」の場所)が働き、不安や警戒を作る扁桃体や、相手を批判する回路は静まっていました。イギリス、アメリカ、北京の3つの記録で、同じ場所です。一夫一婦のプレーリーハタネズミでは、オキシトシンとバソプレシンとドーパミンが同時に働くと、「この相手」が報酬と結びつく。恋は、長い子育てを2人で乗り切るための「約束の装置」だという説があります。世界の166の文化のうち、恋の記録が見つからなかったのは15だけでした。そして、58の社会の離婚は結婚4年目の前後に山を作り、結婚して21年の夫婦の脳では、恋の初期と同じ場所と、親子のきずなにかかわる場所が、同時に働いていました。
▼ 目次
0:00 序
1:20 第一章 取り違える体
2:29 第二章 恋をした脳
4:10 第三章 恋は、病に似ている
5:28 第四章 恋は、何のためにあるのか
7:48 第五章 恋は、続かない
9:31 第六章 結び
▼ この動画に出てくる語
吊り橋の実験、感情の二要因説(高ぶりの取り違え)、腹側被蓋野とドーパミン、扁桃体、前帯状皮質、セロトニン輸送体と強迫症、オキシトシンとバソプレシン、プレーリーハタネズミのつがい、約束の装置、恋と愛着
▼ 主な出典
・吊り橋の実験(1974年) — Dutton, D. G., & Aron, A. P. (1974). Journal of Personality and Social Psychology, 30(4), 510–517. doi:10.1037/h0037031
・感情の二要因説 — Schachter, S., & Singer, J. E. (1962). Psychological Review, 69(5), 379–399. doi:10.1037/h0046234
・ジェットコースター(300人) — Meston, C. M., & Frohlich, P. F. (2003). Archives of Sexual Behavior, 32(6), 537–544. doi:10.1023/A:1026037527455
・取り違え説への反論 — Allen, J. B., Kenrick, D. T., Linder, D. E., & McCall, M. A. (1989). Journal of Personality and Social Psychology, 57(2), 261–270. doi:10.1037/0022-3514.57.2.261
・恋をした脳(17人・2000年) — Bartels, A., & Zeki, S. (2000). NeuroReport, 11(17), 3829–3834. doi:10.1097/00001756-200011270-00046
・恋の初期の脳(10人の女性と7人の男性) — Aron, A., Fisher, H., Mashek, D. J., Strong, G., Li, H., & Brown, L. L. (2005). Journal of Neurophysiology, 94(1), 327–337. doi:10.1152/jn.00838.2004
・北京の18人 — Xu, X., Aron, A., Brown, L., Cao, G., Feng, T., & Weng, X. (2011). Human Brain Mapping, 32(2), 249–257. doi:10.1002/hbm.21017
・恋と母の愛・静まる回路 — Bartels, A., & Zeki, S. (2004). NeuroImage, 21(3), 1155–1166. doi:10.1016/j.neuroimage.2003.11.003
・批判の回路を切る「押しと引き」の解釈 — Zeki, S. (2007). FEBS Letters, 581(14), 2575–2579. doi:10.1016/j.febslet.2007.03.094
・恋と強迫症の血液(20人ずつ) — Marazziti, D., Akiskal, H. S., Rossi, A., & Cassano, G. B. (1999). Psychological Medicine, 29(3), 741–745. doi:10.1017/S0033291798007946
・プレーリーハタネズミのつがい — Young, L. J., & Wang, Z. (2004). Nature Neuroscience, 7(10), 1048–1054. doi:10.1038/nn1327
・バソプレシン受容体の遺伝子と男性のきずな — Walum, H., Westberg, L., Henningsson, S., et al. (2008). PNAS, 105(37), 14153–14156. doi:10.1073/pnas.0803081105
・恋は「約束の装置」(説) — Fletcher, G. J. O., Simpson, J. A., Campbell, L., & Overall, N. C. (2015). Perspectives on Psychological Science, 10(1), 20–36. doi:10.1177/1745691614561683
・166の文化 — Jankowiak, W. R., & Fischer, E. F. (1992). Ethnology, 31(2), 149–155. doi:10.2307/3773618
・恋の総説(166の文化と「18か月から3年」の引用を確認) — Bode, A., & Kushnick, G. (2021). Frontiers in Psychology, 12, 573123. doi:10.3389/fpsyg.2021.573123
・37の文化・1万47人 — Buss, D. M. (1989). Behavioral and Brain Sciences, 12(1), 1–49. doi:10.1017/S0140525X00023992
・58の社会の離婚・4年目の山 — Fisher, H. E. (1989). American Journal of Physical Anthropology, 78(3), 331–354. doi:10.1002/ajpa.1330780303
・恋の熱は18か月から3年(本) — Tennov, D. (1979). Love and Limerence: The Experience of Being in Love. Stein and Day.
・結婚して平均21年の夫婦の脳(17人) — Acevedo, B. P., Aron, A., Fisher, H. E., & Brown, L. L. (2012). Social Cognitive and Affective Neuroscience, 7(2), 145–159. doi:10.1093/scan/nsq092
・恋(夢中)と愛着は別の成分 — Langeslag, S. J. E., Muris, P., & Franken, I. H. A. (2013). Journal of Sex Research, 50(8), 739–747. doi:10.1080/00224499.2012.714011
・日本の記録(18〜34歳の未婚で恋人がいる 男性21.1%・女性27.8%、交際相手なし 72.2%・64.2%) — 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(2021年)結果の概要」
※ 吊り橋の実験は男性の通行人を対象にした1つの研究で、「体の高ぶりを恋と取り違える」という説明には反論もあります(議論中)。電話をかけた人数は、原論文の本文で確かめられなかったので言っていません。
※ 恋をした脳の記録は17人・17人・18人、血液の記録は20人ずつの、小さな研究です。「恋は病気」という意味ではなく、血液の上で同じ状態が見えた、という記録です。
※ 「恋は約束の装置」「4年目の山は乳離れの名残」「恋と愛着は別の仕組み」は研究者の説で、印は「説」です。ネズミの記録は「有力」ですが、人にそのまま当てはまる証明ではありません。
※ 37の文化の好みは「重く見る人の割合の差」で、何を重く見るかは文化によって大きく違います。「男はこう・女はこう」という意味ではありません。
※ 日本の数字は2021年の調査です。恋をしていないことは、欠けていることではありません。
※ この動画は、2026年9月時点で公開されている研究の紹介です。今後の研究で見直される可能性があります。
▼ 万象図鑑について
万象図鑑は、哲学・歴史・科学・宇宙など、ジャンルの壁を越えて世界の「なぜ?」を図解するチャンネルです。案内役は、知識を愛するフクロウのフィロ。チャンネル登録と高評価が、次の図版を仕上げる力になります。
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