渋柿はなぜ渋いのか|干しても渋は消えていない、タンニンを網に縛るだけで甘くなる本当の理由
世界の取扱説明書
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渋柿はなぜ渋いのか|干しても渋は消えていない、タンニンを網に縛るだけで甘くなる本当の理由
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渋柿をかじると、口がぎゅっと縮んで舌がざらざらする。あの渋み、苦みのような「味」だと思っていませんか? 実は、渋みは基本の5つの味(塩・酸・うま・甘・苦)に入っていません。味の神経を麻酔しても渋みは残り、顔や口の手ざわりを伝える三叉神経まで止めたときだけ消えます。渋みの正体は「手ざわり」です。
犯人はタンニン。ヒドロキシ基という小さな手をたくさん持つ大きな分子で、唾液のたんぱく質をつかんで固め、口の中のぬめりを消してしまいます。柿のタンニンは緑茶のものより大きく、つかむ力が特に強い。タンニンという名前は、皮をなめして革にするのに使った樹皮から来ています。
では干し柿はなぜ甘いのか。和歌山県の資料では、渋柿の糖度は甘柿と同じくらいあり、甘さは渋みに隠れていただけでした。焼酎・炭酸ガス・干すといった渋抜きは、タンニンを追い出すのではありません。アセトアルデヒドがタンニンどうしに橋をかけて網にし、水に溶けない形に縛るだけ。炭酸ガスで酸素が減ると、柿は自分で発酵してアセトアルデヒドを作ります。甘柿の中の黒いゴマは、たねが出すアセトアルデヒドで固まったタンニン=柿の中で起きた渋抜きの跡です。
種がなくても甘い完全甘柿は、タンニン細胞が6月下旬に育つのをやめる珍しい性質で、柿の6組の染色体の全部がそろわないと出ません。だから保存されている約600品種のうち、日本生まれの完全甘柿は18品種だけ。同じ「たんぱく質をつかむ力」は、日本酒を澄ませる柿渋や、柿の食べすぎでできる胃石にもつながっています。焼酎の渋抜きの仕組みや、タンニンの本当の役目など、まだ分かっていないことも紹介します。
■ 目次
0:00 はじめに
1:09 渋みは味ではない
3:02 タンニンはたんぱく質をつかむ
5:31 渋抜きは甘さを足していない
7:09 アセトアルデヒドの橋
10:14 甘柿のゴマの正体
11:32 完全甘柿は渋の袋が育たない
12:33 完全甘柿はなぜ少ないのか
14:37 同じ力が酒と胃石を作る
15:53 なぜ柿は渋いのか
17:04 おわりに
■ 出典(2026年10月15日に確認)
・A. Sato, M. Yamada「Persimmon breeding in Japan for pollination-constant non-astringent (PCNA) type with marker-assisted selection」Breeding Science 66(1): 60-68 (2016)
・T. Matsuo, S. Itoo「A Model Experiment for De-astringency of Persimmon Fruit with High Carbon Dioxide Treatment: in vitro Gelation of Kaki-tannin by Reacting with Acetaldehyde」Agricultural and Biological Chemistry 46(3): 683-689 (1982)
・X. Min ほか「Two Novel Anoxia-Induced Ethylene Response Factors That Interact with Promoters of Deastringency-Related Genes from Persimmon」PLOS ONE (2014)
・C. Guan ほか「Isolation and Characterization of DkPK Genes Associated with Natural Deastringency in C-PCNA Persimmon」Frontiers in Plant Science 7:156 (2016)
・F. Tamura ほか「Characteristics of acetaldehyde accumulation and removal of astringency with ethanol and carbon dioxide treatments in 'Saijo' persimmon fruit」園芸学会雑誌 68(6) (1999)(要旨)
・Y. Jiang, N. N. Gong, H. Matsunami「Astringency: A More Stringent Definition」Chemical Senses 39(6): 467-469 (2014)
・「Effect of Coca-Cola on the Dissolution of Persimmon-Related Phytobezoar in a Tertiary Care Hospital」Cureus (2024)
・岐阜県農業技術センター「渋いままの柿でもそのまま加工用材料として使えます」
・和歌山県伊都振興局「柿の概要 主な品種の紹介」
・ウェザーニュース「甘柿と渋柿はどう違う?」(2026)
・Wikipedia「カキノキ」「干し柿」「柿渋」「Persimmon」「Astringent」「Tannin」「Tanning (leather)」「Bezoar」
■ 写真(Wikimedia Commons・自由利用)
・Diospyros kaki - Japanese persimmon 01-1.jpg(CC BY-SA 4.0)https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・Persimmon(non astringent & astringent).jpg(CC BY-SA 3.0)https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・Matsuzato Koro-Gaki of dried persimmon for gifts.JPG(CC BY-SA 3.0)https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・Hanging Hachiya Persimmons to become Hoshigaki.jpg(CC BY 3.0)https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・Caqui chocolate em fundo preto 03.jpg(CC BY-SA 4.0)https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...
・Collectie Wereldmuseum, 7082-nf-582-48, Foto, 'Een werkplaats voor het maken van bangasa'(Public domain)https://commons.wikimedia.org/wiki/Fi...