退職した夫は、親族に私の立て替えを約束した。私は申込書を置いて異議を伝えた。妻が引き受けないとき、夫はその返事をどう説明するのか
ことばの灯り
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退職した夫は、親族に私の立て替えを約束した。私は申込書を置いて異議を伝えた。妻が引き受けないとき、夫はその返事をどう説明するのか
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ことばの灯り
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退職した夫が、親戚十五人の旅館代四十二万円を、私が立て替えると約束していました。食卓に出された申込書には私の名前。余白には、翌日の昼食をわが家で出す予定まで。夫の分だけ薄めた味噌汁を置いた私は、その紙を夫の箸の横へ戻しました。
私は六十五歳。週二日の調理補助の給料から、少しずつ貯金をしてきました。いつまで立ち仕事を続けられるか分からないからこそ、手元に残しておきたいお金です。使う予定がないからといって、誰かが先に約束していいものではありません。
親戚には会いたい。退職した夫が、久しぶりの集まりを楽しみにする気持ちも分かります。でも、連絡も支払いも食事の支度も、私が引き受けることになっている。夫と一緒に楽しむはずの時間に、私自身の返事をする場所がありませんでした。
立て替えを断っても、夫は親戚への説明を曖昧にしたまま。やがて、旅館代を減らすために自宅へ泊める案も出てきます。親しい義妹にまで断りを伝える寂しさを抱えながら、私は、一人で暮らすにはいくら必要なのかを調べ始めました。
友人と家計を計算し、娘からは同居を勧められます。ただ、その安心には、孫を見守る役割への期待もありました。家賃を払う不安と、また誰かの予定に合わせて暮らす不安。どちらも簡単には消えません。
私が引き受けないと知った夫は、自分の約束を親戚にどう説明するのでしょう。そして、夫がやり方を変えたら、私は家に残るべきなのでしょうか。長年の情を捨てずに、自分の返事と朝の時間を取り戻そうとする、その選択を聴いてください。
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