【知らないと怖い】大人になってから現れる毒親育ちの後遺症5選
精神科医 芳賀高浩
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【知らないと怖い】大人になってから現れる毒親育ちの後遺症5選
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精神科医 芳賀高浩
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皆さん、こんばんは。精神科医の芳賀高浩です。
今回は、精神科医・益田裕介先生へのリスペクトを込めた「リスペクトフル・オマージュ」として、同じテーマについて、私なりの視点からお話しします。
ただし、内容をそのまま引用するのではなく、論文や研究報告を参考にしながら、私自身の考えをまとめました。
今日のテーマは、
「知らないと怖い、大人になってから現れる毒親育ちの後遺症5選」
です。
「毒親」という言葉は、医学的な診断名ではありません。ここでは、虐待、ネグレクト、過度な支配、否定、脅しなどによって、子どもの心に持続的な悪影響を与える親や養育環境を指して使います。
子どもにとって、親は本来、最初の「安全基地」です。しかし、その安全基地が安心できる場所でなかった場合、その影響は子ども時代だけでは終わりません。
大人になってから、不安、うつ、人間関係の難しさ、依存などの形で現れることがあります。
今回は、代表的な5つの後遺症についてお話しします。
1.理由の分からない不安やうつを繰り返す
子どもの頃に虐待やネグレクトを経験した人は、成人後にうつ病や不安症を発症する割合が高いことが、複数の研究で報告されています。
子ども時代に親が安全基地にならないと、
「世界は安心できる場所である」
と学ぶことができません。
家庭の中で、いつ怒られるか、いつ見捨てられるか分からない状態が続くと、脳や身体は常に危険に備えるようになります。
その環境から離れて大人になった後も、警戒状態だけが残ることがあります。
実際には大きな問題が起きていなくても、漠然とした不安が続く、理由もなく気分が落ち込む、何度もうつ状態を繰り返すといった形で現れるのです。
2.人の顔色を読みすぎ、常に身構えている
毒親育ちの人は、相手の機嫌に非常に敏感になることがあります。
「この人は怒っているのではないか」
「今の言い方はまずかったのではないか」
「嫌われたのではないか」
相手の表情、声の調子、沈黙、ため息などを過剰に読み取り、常に緊張してしまいます。
これは、子ども時代を生き延びるためには必要な能力だったのかもしれません。
親の機嫌を素早く察知できれば、怒鳴られたり、傷つけられたりする危険を避けられたからです。
しかし、大人になってからもその反応が続くと、人間関係の中で安心できません。
職場や友人関係でも相手の感情を背負い込み、何かあるたびに、
「自分が悪かったのではないか」
と考え続けてしまいます。
3.感情を出せない、あるいは急に爆発する
毒親に育てられた人は、感情の扱いが極端になることがあります。
「怒ってはいけない」
「泣いてはいけない」
「つらいと言ってはいけない」
「弱音を吐くと責められる」
このような環境では、自分の感情を安全に表現する方法を学べません。
その結果、本当は傷ついているのに平気なふりをしたり、限界まで我慢した末に、突然怒りを爆発させたりします。
研究でも、子ども時代の虐待やネグレクトは、感情調整の難しさ、感情の抑圧、回避、否定的な感情表出の増加などと関連することが報告されています。
これは、性格が悪いからでも、意志が弱いからでもありません。
自分の感情を誰かに受け止めてもらい、適切に表現する経験が不足していたためです。
4.恋愛や人間関係で、近づきすぎるか避けすぎる
人との適切な距離感が分からなくなることもあります。
相手から少し返信が来ないだけで、見捨てられたように感じ、何度も連絡してしまう。
一方で、親しくなることが怖くなり、相手を好きになるほど自分から距離を置いてしまう人もいます。
子ども時代の虐待やネグレクトは、成人後の不安型、回避型の愛着傾向と関連するとされています。
近づきすぎる人も、避けすぎる人も、根底には、
「人を信じても大丈夫だろうか」
「いつか傷つけられるのではないか」
という恐怖があります。
人間関係の中で安心した経験が少ないため、相手との距離を安定させることが難しくなるのです。
5.依存、過食、過労、自己破壊で心を麻痺させる
後遺症は、心の症状だけではなく、行動にも現れます。
つらくなるとお酒を飲みすぎる、食べすぎる、薬物やギャンブルに依存する。
休むことが怖くなるほど仕事を詰め込む。
自分を傷つけるような恋愛や性行動を繰り返す。
複数の小児期逆境体験を持つ人では、精神疾患だけでなく、有害な飲酒、薬物使用、喫煙、身体疾患、対人暴力など、幅広い健康上のリスクが高まることが報告されています。
子どもの頃、つらい感情を親に受け止めてもらえなかった人は、人との関係の中で感情を整理する経験が不足しています。
そのため、アルコール、食べ物、仕事、刺激の強い行動などによって、一時的に心を麻痺させようとするのです。
ここまでをまとめると、毒親育ちの後遺症として現れやすいのは、次の5つです。
1.理由の分からない不安やうつを繰り返す
2.人の顔色を読みすぎ、常に身構える
3.感情を出せない、または急に爆発する
4.人間関係で近づきすぎるか、避けすぎる
5.依存、過食、過労、自己破壊で心を麻痺させる
どれも、とても苦しい問題です。
しかし、私はここに希望もあると思っています。
これらは、すべてが生まれつきの性格によって決まるものではありません。
後天的な人間関係の中で身についた反応であるならば、その後に経験する安全な人間関係によって、少しずつ書き換えていくことも可能だからです。
親との関係で、
「人は信用できない」
「助けを求めると怒られる」
「自分には価値がない」
と学んでしまった人に対して、治療者は一貫した態度を示す必要があります。
昨日は優しかったのに、今日は冷たい。
相談したら、面倒そうな顔をされた。
そのような関係では、過去のつらい体験が再び繰り返されてしまいます。
精神科医、看護師、心理士などが、落ち着いた態度で、安定した関係を提供し続ける。
その積み重ねによって、
「この人は急に態度を変えない」
「困ったときには助けを求めてもよい」
「人間関係の中でも安心できる」
という、新しい経験を作っていくことが大切です。
もちろん、一朝一夕には変わりません。治療者がすべてを救えるわけでもありません。
それでも、毒親によって植えつけられた不安や、不安定な人間関係の記憶を少しずつ塗り替えていくような関わりを、私は続けたいと思っています。
最後に、私の著書『私の中の「希死念慮」ちゃん』が第5刷となりました。
刷を重ねるたびに細かな表現を見直し、より伝わりやすい本になるよう修正しています。
希死念慮について悩んでいる若い方にも手に取ってもらえるような、読みやすく、親しみやすい本を目指しています。
今回は、
「知らないと怖い、大人になってから現れる毒親育ちの後遺症5選」
についてお話ししました。
精神科医の芳賀高浩でした。
それでは、またお会いしましょう。